「空間」を空につなげるために-巨大で透明なアトリウムを実現する技術 -汐留住友ビル-

歩行者デッキより見るアトリウムのファサード。

歩行者デッキより見るアトリウムのファサード。「クロコダイル・ノード」とリブガラスがリズムを刻む。
photo by Shinozawa Hiroshi

斬新な構成と、過酷な条件

この建物は、下部に巨大なアトリウムとホテルを持ち、その上に、通風/免震層を挟んで大型オフィス層が乗るという斬新な構成の建物である。
12.8mスパンで立つ長さ40m超の柱で支えられるアトリウムの巨大空間をできうる限り透明感の高いものにすべく、できればガラスだけでファサードを作りたいというのが、設計者の要望であった。

軽快なシステムを求めて

しかし、このアトリウムの外装の中間部にテンション材を取付けると、そこに入ってくる膨大な張力に対応するため、アトリウムを支える柱は外装材の面内方向の曲げ応力を負担することとなり、その意匠性をそこなってしまうことになる。

水平ガラス耐風梁の登場

そこで、構造柱から3.2mのアーム(カンチレバー・アーム)を持ち出し、その間に6.4mの水平なガラスの耐風梁を配する案に収束した。
ただし、柱から持ち出したアームにはガラスの重量を負担させないことで、アームの断面を極力小さくすることにした。また、せっかく耐風梁をガラスだけで構成することになったので、面ガラスの縦の割付もできるだけ大きくとることになった。

アトリウムエントランスのファサード内観

アトリウムエントランスのファサード内観。上に載るオフィス層を支える紡錘型の柱がファサードも支持する。
photo by Shinozawa Hiroshi

ファサード頂部を見上げる

ファサード頂部を見上げる。オフィス層との間には免震層が設けられている。ファサードの自重を吊り下げる鉄骨が見える。
photo by Shinozawa Hiroshi

全てフロート板ガラスで

設計者から、このアトリウムではフロート板ガラスに徹底したデザインにしたいとの提示があり、全てをフロート板ガラス(合わせ)とすることに挑戦した。
フロート板ガラスだけを使用することで以下のことが実現できた。

  1. ゆがみを最小限とした
  2. 強化ガラスでは不可能な長さ6.4mも可能とした
  3. 面ガラスを長くし水平ガラス耐風梁を2階層ごとに出来た
  4. コストを抑えることができた

もちろん、安全確保のための工夫──ガラスと金物の接合部を「挟み込み」「差し込み」「巻き込み」などの方法としたり、地震時に違った挙動をする柱とガラス面に対応すべくピン接合とローラー接合を採用したなど──は様々に行っている。
なお、面ガラスは、外部側に配したリブガラスで2辺支持され、上下辺は突き合わせシールだけの納まりとなっている。

アトリウム カーテンウォール詳細図(PDF 120KB/1ページ)

アトリウム・エントランスの全景
アトリウム・エントランスの全景
photo by Shinozawa Hiroshi

歩行者デッキから見るアトリウムファサード夜景
歩行者デッキから見るアトリウムファサード夜景。
photo by Shinozawa Hiroshi

全カーテンウォールをケーブルで吊る

12.8mのスパンの間にあるガラスや金物の、耐風梁:6トン、リブガラス:11トン、面ガラス:15トンという重量を最小のエレメントで支持するには、吊り下げることが最も有効である。
よって、アトリウムの最頂部にガラスの幅と同じ1.6mピッチで配置した吊り元となる鉄骨から、ファサードの内側・外側の2本のステンレス・ケーブルと金物(クロコダイル・ノード)で水平のガラス耐風梁を含む全てのガラスの重量を吊り下げている。
ケーブルは、アトリウムの高さいっぱいの1本物で、金物と取り合う位置に固定した金具に、それぞれの部位の金物が取り付く、位置調整しやすくジョイントがシンプルなメカニズムとした。

(松延晋:日本板硝子ディー・アンド・ジー・システム)
(概要文責は編集部)

クロコダイル・ノード詳細図(PDF 44KB/1ページ)

ファサードのジョイント金具「クロコダイル・ノード」
ファサードのジョイント金具
「クロコダイル・ノード」
photo by Shinozawa Hiroshi

ファサード下端の「クロコダイル・ノード」
ファサード下端の
「クロコダイル・ノード」
photo by Shinozawa Hiroshi

「クロコダイル・ノード」と耐風梁
照明で浮かび上がる
「クロコダイル・ノード」と耐風梁
photo by Shinozawa Hiroshi

ダウンロード

スペースモジュレーターレポートの冊子を郵送ご希望の方
スペースモジュレーターレポート資料請求フォーム

新しいウィンドウが開きます:Adobe Reader(R)ダウンロードページへ

資料をご覧いただくにはAdobe Reader(R)が必要です。
お持ちでない場合は、左側のAdobe Reader(R)ダウンロードボタンをクリックし、アドビシステムズ社のWebサイトよりインストールしてください。

このページの先頭へ戻る